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他動詞

Last-modified: 2017-05-15 (月) 06:51:15

✧ 他動詞

他動詞は再帰系と単向系の区別があり、それぞれ意志他動詞と無意志他動詞に分けられ、そこから更に
”遂行他動詞”
”誘発他動詞”
”発端他動詞”
”受益他動詞”
”責任他動詞”
”関与他動詞”
”企図他動詞”
”経験他動詞”
”主宰他動詞”
”所有他動詞”
の下位分類があります。

【再帰系と単向系】
再帰系:動作者の行為の影響が対象だけでなく、動作者自身にも及ぶ動詞(食べる、着る、被る、脱ぐ等)

単向系:動作者の行為の影響が対象のみに及ぶ動詞(殴る、殺す、走らす)

(注意が必要なのはここでいう再帰系他動詞とは印欧語などの再帰代名詞を使い主語と目的語が一致し自動詞的な解釈になる再帰動詞とは異なります。
ゼノス語の再帰系は動作の(移動物の)着点や起点が動作者自身に設定されている他動詞の事を言います)

単向系については再帰用法があります。
再帰用法とは目的語が主語の所有物となっている用法の事で、「分離不可能所有」と「分離可能所有」の二種類があり、
「彼は髪を切った」が前者、
「彼は家を建てた」が後者にあたりますが、
使用においてはこの区別はまったくと言っていいほど重要ではありません。

通常単向系は再帰系のように行為の影響が主語自身にも及ぶ意味は持ち合わせてないですが、
目的語が主語の所有物である場合は結果的に主語自身にも影響が及ぶためにそれを再帰用法といい、これに対し目的語が主語の所有物ではない場合は非再帰用法といいます。
遂行、誘発、発端、受益、責任、関与、企図、経験、主宰それぞれに再帰用法と非再帰用法があります。

【他動詞の下位分類】

  • [遂行他動詞]
    遂行他動詞は動作対象には一切自立性はなく、主語が開始点から完了点まで対象に影響を与える事を表す他動詞で、
    この場合の主語はゼノスでは「遂行者」と言います。

    具体的に言えば、
    レキサという人物がドアノブを掴みグーっと最後までドアを開けきるような状況を表します。
    これは
    LEXÄ ESP_ЯOG SEED
    レキサがドアを開けた
    になり、目的語が主語の所有物ではないので非再帰用法という事になります。

    一方、レキサという人物がハサミを使い自分で自分の髪を切った状況は
    LEXÄ XASH_ЯOG SHEGINS
    レキサが髪を切った
    になり、この場合の目的語である「SHEGINS(髪)」は主語であるレキサの一部(所有物)なので、行為の影響が主語自身に及んでいるために単向系他動詞であるものの再帰用法(分離不可能所有)という事になります。

    この遂行他動詞(構文)は従動自動詞(構文)に言い換える事が可能で、その場合は他動詞時に主語だった遂行者は背景化され、目的語の被動作者だったものが自動詞構文では従動者として主語の位置に置かれる事になります。
    その際、従動自動詞構文では背景化されて構文上隠されている遂行他動詞構文での主語は従動自動詞構文では他動格補助詞JATTINを使う事で可視化する事ができます。
    これは再帰用法、非再帰用法でも同じです。

  • [誘発他動詞]
    誘発他動詞は遂行他動詞とは違い、主語の働きかけは対象が動作する開始点までや、
    動力供給面のみに限られ、
    あくまでも動作性を発動するきっかけを与える事により動作対象の潜在的な動作性を発動させる事を表す他動詞です。
    この場合の主語はゼノスでは「誘発者」と言います。

    非再帰用法から具体的に言えば、レキサという人物がドアに対して軽くコツンと押すという働きかけだけをして、後はその力を利用して蝶番が動き、ドアが自律的に開く(ドアの潜在的な動作性が発動)というような状況で、
    それが
    LEXÄ ESP_ЯOG SEED
    レキサがドアを開けた
    になります。
    これはセンサー式の自動ドアに近づく事でドアを開ける状況や、
    感圧式の自動ドアの感圧マットを踏む事でドアを開くような状況も同様です。
    ちなみに「車が泥を跳ねる(跳ねさす)」
    もゼノスでは誘発他動詞と解釈されます。
    これは車のタイヤの動きによって泥が反作用を持つ事で跳ねるという動作性が発動(タイヤの動き=泥に対して動力供給)すると解釈されるためです。

    次に再帰用法を具体的に言えば、
    レキサという人物が特殊な薬品をを使い自分で自分の髪の成長を促進させて伸ばした状況は
    LEXÄ GLEWM_ЯOG SHEGINS
    レキサが髪を伸ばした
    になり、目的語の「SHEGINS(髪)」は主語であるレキサの一部なので、単向系誘発他動詞の再帰用法(分離不可能所有)という事になります。

    この誘発他動詞(構文)は発動自動詞(構文)に言い換える事が可能で、その場合は他動詞時に主語だった誘発者は背景化され、目的語の被動作者だったものが自動詞構文では発動者として主語の位置に置かれる事になります。
    その際、発動自動詞構文では背景化されて構文上隠されている誘発他動詞構文での主語は発動自動詞構文では他動格補助詞JATTINを使う事で可視化する事ができます。
    これは再帰用法、非再帰用法でも同じです

  • [発端他動詞]
    発端他動詞は本来は主語によって指示・命令される事で行為を行う実際の動作者が別にいるもののその実際の動作者を背景化し、あたかも事態成立に至るまでの過程全てを主語自身が行ったかのように表す他動詞です。
    この場合の主語はゼノスでは「発端者」、背景化されている実際の動作者は「実行者」と言います。

    このタイプの他動詞は指令態構文に言い換える事が可能で、他動詞の時の主語(発端者)は指令態構文でも主語の位置のまま「指令者」となり、他動詞時に背景化されていた実行者は与格で「被指令者」として顕在化されます。
    (動作対象は指令態構文でも同様に動作対象のままです)
    非再帰用法から具体的に言えば、レキサという人物がマイアという人物に「ギレキを殺せ」と命令し実行させた状況をそのまま指令態文で表現すれば、
    LEXÄ DAIZISEQU_ЯOG GILEKI PIS MAIA
    レキサがマイアにギレキを殺させた

    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ DAIZ_ЯOG GILEKI
    レキサがギレキを殺した

    になり、それが発端他動詞(構文)という事になります。
    ちなみにこの場合は実行者であるマイアは背景化(+不可視化)されていますが、実行格の補助詞DETTINを使う事で
    LEXÄ DAIZ_ЯOG GILEKI DETTIN MAIA
    マイア(の手)によってレキサがギレキを殺した

    のように可視化する事ができます。
    (この実行格DETTINは「〜(の手)によって」という意味があります)

    次に再帰用法を具体的に言えば、
    レキサという人物がマイアという人物に「私の髪を切れ」と指示し実行させた状況をそのまま指令態構文で表現すれば
    LEXÄ XASSHISEQU_ЯOG SHEGINS PIS MAIA
    レキサがマイアに髪を切らさせた

    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ XASH_ЯOG SHEGINS
    になり、それが発端他動詞の再帰用法(分離不可能所有)という事になります。

  • [受益他動詞]
    受益他動詞は、本来は主語によって依頼された実際の動作者が別にいるもののその実際の動作者を背景化し、あたかも事態成立に至るまでの過程全てを主語自身が行ったかのように表す他動詞です。
    この場合の主語はゼノスでは「受益者」、背景化されている実際の動作者は「実行者」と言います。

    このタイプの他動詞は依頼態構文に言い換える事が可能で、他動詞の時の主語(受益者)は依頼態構文でも主語の位置のまま「依頼者」となり、他動詞時に背景化されていた実行者は与格で「被依頼者」として顕在化されます。
    (動作対象は依頼態構文でも同様に動作対象のままです)

    非再帰用法から具体的に言えば、
    レキサという人物がマイアという人物に「窓を開けてもらえないか」と依頼し実行させた状況をそのまま依頼態構文で表現すれば、

    LEXÄ ESPISECHI_ЯOG PRAUD PIS MAIA
    レキサがマイアに窓を開けさせた

    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は

    LEXÄ ESP_ЯOG PRAUD
    レキサが窓を開けた

    になり、それが非再帰用法の受益他動詞という事になります。

    次に再帰用法を具体的に言えば、
    レキサという人物がマイアという人物に「私の髪を切ってもらえないか」と依頼し実行させた状況をそのまま依頼態構文で表現すれば
    LEXÄ XASSHISECHI_ЯOG SHEGINS PIS MAIA
    レキサがマイアに髪を切らせた
    あるいは
    レキサがマイアに髪を切ってもらった
    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ XASH_ЯOG SHEGINS
    レキサが髪を切った
    になり、それが受益他動詞の再帰用法(分離可能所有)という事になります。

    ちなみに、それに対してレキサという人物がギレキという人物に「家を建ててくれ」と依頼し、それを実行させた状況をそのまま依頼態構文で表せば、
    LEXÄ GLANTISECHI_ЯOG PÄLM PIS GILEKI
    レキサが家をギレキに建てさせた

    あるいは
    レキサがギレキに家を建ててもらった
    になりますが、これを実行者であるギレキを背景化した場合は
    LEXÄ GLANT_ЯOG PÄLM
    レキサが家を建てた

    になり、この場合は目的語である「PÄLM(家)」はレキサの所有物ではあるものの切り離せる関係にあるので、同じ再帰用法でも分離可能所有の再帰用法という事になります。

    当然これも、
    LEXÄ GLANT_ЯOG PÄLM DETTIN GILEKI
    レキサがギレキにさせて(ギレキの手によって)家を建てた
    というように他のと同様に実行格DETTINで実行者を可視化する事ができます。

  • [責任他動詞]
    責任他動詞は、本来は主語による許可・容認を受けた実際の動作者が別にいるもののその実際の動作者を背景化し、あたかも事態成立に至るまでの過程全てを主語自身が行ったかのように表す他動詞です。
    この場合の主語はゼノスでは「責任者」、背景化されている実際の動作者は「実行者」と言います。

    このタイプの他動詞は容認態構文に言い換える事が可能で、他動詞の時の主語(責任者)は容認態構文でも主語の位置のまま「容認者」となり、他動詞時に背景化されていた実行者は与格で「被容認者」として顕在化されます。
    (動作対象は容認態構文でも同様に動作対象のままです)

    非再帰用法から具体的に言えば、
    レキサという人物がマイアという人物の「窓を開けてもよろしいでしょうか」という要望に許可を出し、実行させた状況をそのまま容認態構文で表現すれば、

    LEXÄ ESPISENA_ЯOG PRAUD PIS MAIA
    レキサがマイアに窓を開けさせた

    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は

    LEXÄ ESP_ЯOG PRAUD
    レキサが窓を開けた

    になり、それが非再帰用法の責任他動詞という事になります。

    次に再帰用法を具体的に言えば、
    レキサという人物がマイアという人物に「貴方の髪を切ってもよろしいでしょうか?」と聞かれ、それを容認し実行させた状況をそのまま容認態構文で表現すれば
    LEXÄ XASSHISENA_ЯOG SHEGINS PIS MAIA
    レキサがマイアに髪を切らせた
    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ XASH_ЯOG SHEGINS
    レキサが髪を切った
    になり、それが責任他動詞の再帰用法(分離不可能所有)という事になります。

  • [企図他動詞]
    企図他動詞は、本来は主語によって誘導される事で行為を行う実際の動作者が別にいるもののその実際の動作者を背景化し、あたかも事態成立に至るまでの過程全てを主語自身が行ったかのように表す他動詞です。
    この場合の主語はゼノスでは「企図者」、背景化されている実際の動作者は「実行者」と言います。

    このタイプの他動詞は誘導態構文に言い換える事が可能で、他動詞の時の主語(企図者)は誘導態構文でも主語の位置のまま「誘導者」となり、他動詞時に背景化されていた実行者は与格で「被誘導者」として顕在化されます。
    (動作対象は誘導態構文でも同様に動作対象のままです)

    非再帰用法から具体的に言えば、
    レキサという人物に「ギレキを殺したい」という思惑があり、マイアという人物に何らかの方法で誘導し、実行させた状況をそのまま誘導態構文で表現すれば、
    LEXÄ DAIZISETO_ЯOG GILEKI PIS MAIA
    レキサがマイアにギレキを殺させた

    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ DAIZ_ЯOG GILEKI
    レキサがギレキを殺した

    になり、それが非再帰用法の企図他動詞という事になります。

    次に再帰用法を具体的に言えば、
    レキサという人物に「誰かに自分の髪を切ってほしい」という思惑があり、直接的に依頼したりはせずに何らかの方法で誘導し、実行させた状況をそのまま誘導態構文で表現すれば
    LEXÄ XASSHISETO_ЯOG SHEGINS PIS MAIA
    レキサがマイアに髪を切らせた
    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ XASH_ЯOG SHEGINS
    レキサが髪を切った
    になり、それが企図他動詞の再帰用法(分離不可能所有)という事になります。

  • [関与他動詞]
    関与他動詞は、本来は主語の手助けによって行為を実現する実際の動作者が別にいるもののその実際の動作者を背景化し、あたかも事態成立に至るまでの過程全てを主語自身が行ったかのように表す他動詞です。
    この場合の主語はゼノスでは「関与者」、背景化されている実際の動作者は「実行者」と言います。

    このタイプの他動詞は幇助態構文に言い換える事が可能で、他動詞の時の主語(関与者)は幇助態文でも主語の位置のまま「幇助者」となり、他動詞時に背景化されていた実行者は与格で「被幇助者」として顕在化されます。
    (動作対象は幇助態構文でも同様に動作対象のままです)

    非再帰用法から具体的に言えば、
    マイアという人物がギレキという人物を殺そうとしているところをレキサという人物がギレキの体を抑えるなどしてマイアの行為実現を手助けし、実行させた状況をそのまま幇助態構文で表現すれば、
    LEXÄ DAIZISESU_ЯOG GILEKI PIS MAIA
    レキサがマイアにギレキを殺させた

    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ DAIZ_ЯOG GILEKI
    レキサがギレキを殺した

    になり、それが非再帰用法の関与他動詞という事になります。

    次に再帰用法を具体的に言えば、
    マイアという人物がレキサという人物の髪を切ろうとしているところを、レキサ自身が自分の髪を手で掴んでマイアが切りやすいようにして実行させた状況をそのまま幇助態構文で表現すれば
    LEXÄ XASSHISESU_ЯOG SHEGINS PIS MAIA
    レキサがマイアに髪を切らせた
    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ XASH_ЯOG SHEGINS
    レキサが髪を切った
    になり、それが関与他動詞の再帰用法(分離不可能所有)という事になります。

  • [経験他動詞]
    経験他動詞は、本来は”(意志的であれば)主語が阻止しなかった(放任した)実際の動作者が”
    あるいは
    ”(無意志的であれば)主語が阻止できなかった実際の動作者が”別にいるものの、
    その実際の動作者を背景化し、あたかも事態成立に至るまでの過程全てを主語自身が行ったかのように表す他動詞です。
    この場合の主語はゼノスでは「経験者」、背景化されている実際の動作者は「実行者」と言います。

    このタイプの他動詞構文は不阻止態構文に言い換える事が可能で、他動詞の時の主語(経験者)は不阻止態構文でも主語の位置のまま「不阻止者」となり、他動詞時に背景化されていた実行者は与格で「被不阻止者」として顕在化されます。
    (動作対象は不阻止態構文でも同様に動作対象のままです)

    非再帰用法から具体的に言えば、
    マイアという人物がギレキという人物を殺しにかかっているところをレキサという人物がが目撃してるにも関わらず、それを阻止せずに、結果実行を許してしまった状況をそのまま不阻止態構文で表現すれば、
    LEXÄ DAIZISEZA_ЯOG SHEGINS PIS MAIA
    レキサがマイアにギレキを殺させた

    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ DAIZ_ЯOG GILEKI
    レキサがギレキを殺した

    になり、それが非再帰用法の経験他動詞という事になります。

    次に再帰用法を具体的に言えば、
    マイアという人物がレキサという人物の髪を切りにかかっているところをレキサ自身がそれを止めようとせずに、もしくはマイアの動作に気付かずにいた結果、マイアの実行を許してしまった状況をそのまま不阻止態構文で表現すれば、
    LEXÄ XASHISEZA_ЯOG SHEGINS PIS MAIA
    レキサがマイアに髪を切らさせた
    になりますが、これを実行者であるマイアを背景化した場合は
    LEXÄ XASH_ЯOG SHEGINS
    レキサが髪を切った
    になり、それが経験他動詞の再帰用法(分離不可能所有)という事になります。

    非再帰用法も再帰用法も実際の行為者(不阻止態構文での被使役者)は経験他動詞構文でも実行格DETTINを使用する事で可視化する事が可能です。

    経験他動詞についてわかりやすい例をあげると、
    日本語の
    「彼が空襲で家を焼いた」
    はゼノス的に解釈すれば、経験他動詞構文(の分離可能所有再帰用法)という事になり、この「焼いた」は経験他動詞、デ格は実行者を可視化した実行格に相当するものという事になります。
    つまりベースとなる表現は受動態構文ではなく、ゼノスが使用されている世界においては不阻止態構文を経験他動詞構文に言い換えたものというように解釈されます。

  • [主宰他動詞]
    主宰他動詞は他の発端他動詞、受益他動詞、責任他動詞、関与他動詞、企図他動詞、経験他動詞を包括的に表す他動詞です。
    これは、それらの元になっている事態が使役態の下位分類である指令、依頼、容認、幇助、誘導、不阻止のどれなのかというのが明確に判断できない場合に重複的に表せる使役態で表現するのと同じようなもので、
    例えば

    A 「電球替えてもらえない?」
    B 「いいけど、青い電球に変えていい?」
    A 「いいよ」
    B 「足場が不安定だな」
    A 「じゃあ私が体抑えておくよ」
    (AがBの体を抑えて電球を替えるのを補助する)

    というような連続性のあるやり取りがあった場合は、一言で言えば「AがBに電球を替えさせた」であってもそれが(この例の場合は)依頼態なのか、容認態なのか、幇助態なのかの判断は困難で、電球を替えるという行為の実行者を背景化した他動詞構文で表現しようにも、
    受益他動詞で表現すればいいのか、
    責任他動詞で表現すればいいのか、
    関与他動詞で表現すればいいのか、
    というのは事態全体で考えると決定できないので、
    こういった状況を実行者を背景化して表すのが主宰他動詞で、他のと同様に実行者を表したい場合は実行格補助使DETTINで可視化できます。
    要するに上の例のような事態はそのまま表せば意味を限定せずに表せる使役態が使われるので、
    逆を言えば主宰他動詞構文は使役態構文に言い換える事が可能で、その際主宰他動詞構文の主語(主宰者)は主語の位置のまま「使役者」になり背景化されている実行者は与格PISを伴って「被使役者」として顕在化される事になります。

    更に補足すると、要するに「主宰他動詞、発端他動詞、受益他動詞、責任他動詞、関与他動詞、企図他動詞、経験他動詞」は一般にいう介在性の他動詞構文で使用されている他動詞に相当するもので、ゼノスにおいてはこれらをまとめて脱使役動詞と言う事があります。
    言語学でいう脱使役とは概念が異なるので注意が必要です。

  • [所有他動詞」
    所有他動詞は、少し特殊で他動詞でありながら、主語が実際には目的語に働きかけるような意味は一切持っていません。
    これは通常であれば動作主体(自動者)を主語にし、(必要であれば)その行為の発生の場になったものを斜格にした自動詞構文で表す事態を、動作が行われた”場”を前景化するために主語の位置に移動し、動作主体を目的語の位置に移動させたものです。
    この場合の主語は「所有者」、目的語を「被所有者」と言います。
    何故この他動詞の主語を所有者というかというと、
    この主語は”目的語に位置するものが自発的に行った”事象の発生の場”であるために、その自発的な行為者とその行為が行われた事象発生の場が広い意味での所有関係にあると考え、場が行為を行ったものを所有しているというように解釈されるからです。

    例えば
    「林檎が部屋にある」
    は自動詞構文で、林檎に注目した表現ですが、二格の部屋は林檎が存在する場として(この場合構文上可視化されてるものの)背景(斜格)になっていますが、部屋を主体として見た場合、部屋が林檎の(広いの意味での)所有者と考える事ができます。

    これはどういう事かというと、
    例えば上に何もないテーブルと林檎があるテーブルを見比べた時にテーブルを主体として見れば、林檎がないテーブルの方は特に印象に残らないただのテーブルなのに対し、林檎がある方のテーブルは林檎という存在物によって特徴付けられていると感じます。
    そしてテーブルの上に林檎があるという事はテーブルの上という場を林檎が占有している状態でもあります。
    傷が手にあれば、傷が手という場を占有しているわけで、その手は傷によって特徴付けられている事になり、それを「手に傷を持っている」と言えるのと同じように、
    物が場にあるという事は、
    物がその場を占有しているという事であり、
    それは同時に場が存在物によって特徴付けられているという事でもあり、
    裏を返せばそれは場がそこでの存在物を広い意味での所有状態にあるとも言えます。
    そしてこれは所有属格で「Aという場にあるB」という意味で「空の雲」や「部屋の林檎」と言えるのと根本的には同じ原理で、
    「AのB=AにあるB」というのは、AとBの間に何らかの関係性を見出すとすれば、
    Bを主体として見れば「BがAという場のスペースを占有している状態」と考える事が可能で、
    それは裏を返して逆にAの方を主体として見れば、やはり「AがBを所有している状態」という事を意味しています。
    Aという人物の掌の上にBという物があるだけで、「AがBを有する(持っている)」と言えるように、
    日本語では「いる・ある」で表される事を英語ではhaveで表すように、
    自動詞と他動詞の区別がない活格言語では「ある」と「持つ」が同じ動詞で表されるように、
    「有る(ある・いる)」と「有する(持つ・持っている)」は自動詞と他動詞の関係とも言えます。
    「場に物が存在する事」(=「存在物が場を占有している事・存在物が場を特徴付けている事」)と「場が存在物を所有している事」は表裏一体あるいは図と地のような関係で、どちらを図とし地と見るかの違いでしかないので、
    つまり「林檎が部屋にある」というのは「部屋という場のあるスペースを林檎が占有している状態」でそれは「場を特徴付けているという事」でもあるのでこれを反転して部屋を主体とすると「部屋が(自身を特徴付けるものとして)そこで存在する林檎を(広い意味での)所有状態にある」といえる事になります。

    この考えに基づいて主語である林檎ではなく、部屋を主体として表現するには部屋を主語にする必要があるので、
    「私が木を植える」を目的語である木を前景化するために「木が植わる(私によって)」に言い換える一般にいう脱使役化(ゼノスでいう遂行他動詞から従動自動詞への言い換えに相当)の”逆”の如く他動詞構文に言い換えると
    「部屋が林檎を有する(持っている)」
    となり、それが所有他動詞(構文)という事になります(正確にはゼノスでは自動詞「有る」の他動詞は「有らす」ですが)。

    この所有他動詞構文は目的語に対する働きかけは一切ありません。
    しかし他動詞で表せるという事は、そこにはなんらかの他動性が有るという事になります。
    では、その他動性とは何なのかというと、
    これはゼノスにおいては「動作対象物に対して場がその動作をする事を阻止しない(=許している)事」と考えられています。
    どの他動詞にも言える事ですが、
    全ての他動詞は動作対象に働きかけて動作対象に何らかの動作をさせる(何らかの状態にする)事を目的としています。
    その中には必ず動作対象の方を主体として見た場合の「動作対象が主語となる自動詞の動作を行う事」を他動者が許容しているという事になります。
    これは使役の下位分類での使役性も指令態のように完全に使役的行為と言えるものから、
    不阻止態のように使役性ゼロと言えるようなものがあるのと同じです。
    一般にいう放任態も使役性はゼロに近いですが、そこには被使役者が動作を行う事に対して意志的にそれ阻止しないというゼロに近い使役性があるように(ゼノスでいう不阻止態は意志的であれば一般にいう放任態とほぼ同じですが、無意志の不阻止態は完全に使役性ゼロの使役とも言えます)、
    他動詞の他動性をゼロに近くしても残っているものというのは不阻止態と同じように動作対象が主語になる自動詞で表される動作を行う事を(意志的か無意志的かは問題ではなく)結果的に許容してるという事といえます。
    「部屋に林檎がある」を言い換えたまったく動作対象に働きかけをする意味のない他動詞構文である「部屋が林檎を有する(持っている)・有らす」の他動性とはゼノスでは自身という場で「存在するという”動作”を行う事」を「阻止しない・結果的に許容している事」と考えられています。
    「有る」の他動詞が「有する」であれ「有らす」であれ、部屋が林檎を有する・有らすという他動詞構文は部屋が自身という場で林檎が''存在する(有る)という動作を行う事”を、要するに許しているわけです。
    つまり「場に物が存在する=存在物が場を占有状態=存在によって場が特徴付けられている=場が存在物を所有状態=場が自身というスペースで物が存在するという”動作”を行う事を許している」なのです(あくまでもゼノスでの考え方です)。
    ゼノスが使用されている世界ではこの放任的・不阻止的な意味での「許している」がゼロに近い他動性あるいは他動性ゼロの他動性と考えられています。
    これは存在という静的な事象の場を前景化した所有他動詞(構文)は上記の例のような「いる・ある」という静的な事象以外にも適用できる事を意味します。
    誰か・何かが動作を行うという事はそこには必ず”場”に存在している必要があり、それは「存在する(有る)」以外のどの動作を行うにしろその背景には必ず場があるという事なので、
    考えようによっては全ての動詞は存在動詞でなくても場に存在するという意味が隠れているのです。
    それは裏を返せば誰か・何かが何らかの動作をするという事は、その動作が行われる場がそこでの動作者を広い意味での所有状態にあり、そこで動作を行う事を(放任的・不阻止的な意味で)許しているという事なのです。
    つまり物が存在し、場がそこで存在するモノを所有しているという考え方は「ある・いる」という動詞で表される静的な事象だけでなく、
    動的な事象にも拡張できるので、

    VUI LUTEW SVEET_ЯES VEW HAYME
    彼が部屋で走っている

    HAYME LUTEW SVOOT_ЯES VUI
    部屋が彼を走らしている
    (部屋という場が自身であるスペースに彼という存在物を所有し、”彼という存在物がそこで走るという動作を行う事”を許している)

    HИATIS ЯOOJ_ЯES VEW HAYME
    部屋でアイスが溶ける

    HAYME ЯEѤJ_ЯES HИATIS
    部屋がアイスを溶かす
    (部屋という場が自身であるスペースにアイスという存在物を所有し、”アイスという存在物がそこで溶けるという動作を行う事”を許している)

    のような所有他動詞(構文)への言い換えも可能という事になり、
    更に実際には斜格で表される
    モノの移動先である着点
    モノの出所先である起点
    等もここでいう”場に”含まれています。
    この”場”と言われる着点・起点等は人も含まれます。
    要するに日本語でいえば二格やカラ格デ格で表されるもの全てが主体として見る事が可能な”場”という事になります。
    本来なら自発自動詞構文で表わされるような動的な事象も自動者(存在物)による占有・場の特徴付けによってその事象の場と自動者が所有と被所有の関係(逆を言えば、占有と被占有の関係)にあると考えられるので、
    ゼノスでは全ての自発自動詞構文での場を前景化した所有他動詞構文があり得ます。

    例えば
    BUTT GENOW HAIT_ЯES PIS XID
    帽子が頭に被さっている

    XID GENOW HEIT_ЯES BUTT
    頭が帽子を被っている

    PEYMA VOND_ЯES SKAW NEѤJ
    木から芽が出る

    NEѤJ VEND_ЯES PEYMA
    木が芽を出す

    上記の例だと前者が分離可能所有的、後者が分離不可能所有的です。
    所有他動詞構文はそもそもが(この場合広い意味でのですが)所有という考えで出来ている他動詞構文なので非再帰用法はありません。

    逆を言えば、これは自発自動詞構文に言い換える事が可能で、その際目的語は主語の位置に自発者として移動し、所有者は斜格を伴う単なる”事象発生の場”として背景化されます。

【他動詞のタイプの区別】
ここまでの例で幾つも出てきた
LEXÄ XASH_ЯOG
レキサが髪を切った
のように元となる事態は色々あるのに結局動詞の形は同じとなっているので、それがどのタイプの他動詞なのかは動詞の形態では区別する事は出来ません。
ではどうするかというと、これも自動詞と同様に第零スロットに表したい要素を指定した冠詞を主語となる名詞の前に置く事で区別します。

  • [第零スロット]
    B遂行者
    C誘発者
    L発端者
    P受益者
    J責任者
    D企図者
    N経験者
    G主宰者
    F所有者

(下記では定性無指定・無焦点・数無指定の冠詞EALに第零スロットの要素を追加した冠詞を使います。)

  • BEAL'LEXÄ ESP_ЯOG SEED
    であれば遂行他動詞の
    「レキサがドアを開けた」

    CEAL'LEXÄ ESP_ЯOG SEED
    であれば誘発他動詞の
    「レキサがドアを開けた」

    PEAL'LEXÄ XASH_ЯOG SHEGINS
    であれば受益他動詞の
    「レキサが髪を切った」

    DEAL'LEXÄ XASH_ЯOG SHEGINS
    であれば企図他動詞の
    「レキサが髪を切った」

    のように区別します。